西条市立橘小学校5年生 工場見学質問集 2005年11月18日
Q.1)仕事の内容を教えて下さい。
・・・いろいろな機械の部品を作っています。金属(クリタでは、鉄)を溶かして砂型の中に流し込んで部品の形を作ります。このようにして作るものを鋳物(いもの)といい、この仕事を鋳造(ちゅうぞう)と言います。エジプトのピラミッドの中に描かれた3000年前の壁画の中にも、鋳造をしているようすを描いたものがあります。クリタは昭和10年からこの仕事を続けています。
橘小学校の近くに「道前工業」という会社があります。銅の鋳物を作るのが上手なので有名です。クリタは鉄の鋳物を作っています。
Q.2)どんな製品を作っているのですか?
・・・機械の部品を作っています。種類は千種類以上ありますが、代表的なものを展示していますので見て下さい。(この時、大小の実物を並べて展示していました。)主な使い道は、①水が流れる管をつないだり水の流れを開け閉めする器具の部品②工場で使う大きなモーターの部品③トラクターや自動車やバイクや船の部品、などがあります。
Q.3)町のどこでみることができますか?
・・・みなさんがいちばんよく目にする鋳物は、マンホールのフタです。クリタで作る鋳物は機械の部品がほとんどですので、あまり町で見ることはないと思いますが、クリタの鋳物の部品を使った機械は世界中に輸出されています。
Q.4)西条市内にある、マンホールのふたの絵はどうやってかくのですか?
・・・かわせみの絵柄のマンホールのことだと思います。デザイナーが描いた、かわせみの絵柄の通りにアルミニウムという金属を削って型を作り、その型(金型 かながた)を使って砂型を作り、その砂型の中に鉄を流し込んで鋳物を作ります。あとから色を塗ったらできあがりです。
Q.5)中小工場は、関連工場として製品を作っていると学習しましたが、クリタさんもどこかの工場と関連しているのですか?
・・・しています。クリタは他の多くの工場と協力しあいながら鋳物を作っています。鋳物を作るためには、いろいろな材料や型(金型や木型)などが必要です。また、作った鋳物の表面をきれいにする仕事は、とても上手な人がいますのでお願いしています。ですから、クリタで作った鋳物は、クリタだけで作ったものではなく、他のたくさんの工場との共同作品です。
Q.6)クリタさんがじまんできる技術を教えて下さい。
・・・鋳物部品としては作るのが難しい、「薄くて強い」品物を上手に作っているのが特徴です。
Q.7)1日に何個くらい作るのですか?
・・・昨日は、大きい物小さい物全部あわせて、1日に1万8000個作りました。
Q.8)1年間の生産額はどれくらいになるのですか?
・・・するどい質問ですね。約??億円です。ちなみに、日本全体の鉄の鋳物の中でクリタが生産している量は0.1%です。世界全体の鉄の鋳物の中で日本が生産している量は15%です。
Q.9)一番難しい作業は何ですか?
・・・どの作業も大事です。どの作業も全部きちんと行なわないと良い鋳物はできません。その中でも注湯作業(ちゅうとうさぎょう 溶けた鉄を砂型に流し込む作業)が一番緊張します。ここで失敗したら、作ろうとした鋳物ができず、それまで一生懸命に砂型を作った仲間の努力が一瞬でムダになるからです。
Q.10)作業中、失敗することはあるのですか?
・・・あります。で、失敗した原因をよく考えてみることがとても大事です。そして、次は失敗しないような方法を考えて、また挑戦してみて、よければそのやり方をこれから続けます。またダメならまた別のやり方を考えてまたまた挑戦してみます。
Q.11)それぞれの仕事の中で、工夫していることは何ですか?
・・・前にやってしまった失敗をくりかえさないこと。前よりも上手に仕事すること。自分の仕事をしながら仲間にも気を配り助け合い、お互い朗らかに仕事をすることです。
Q.12)仕事をするときもチームワークは必要ですか?
・・・絶対に必要です。お互いがお互いの安全に注意していないと、一瞬でケガをしてしまいます。また、お互いの仕事がやりやすいように気をくばってあげることが大切です。
Q.13)やけどやけがをすることはありませんか?
・・・不注意だと、してしまいます。
Q.14)鉄はどうやって溶かしているのですか?
・・・電気炉の中に鉄を入れて溶かします。大きなコイルに囲まれた内部に溶かず材料を入れ、電磁誘導作用によるうず電流で溶かします。(ちょっと難しかったかな?)大きいIHクッキングヒーターのようなものです。
Q.15)鉄の温度はどれくらいですか?
・・・最高で1540℃くらいまで温度を上げます。ちなみにロウソクの炎の中心は600℃、外側は1400℃、タバコの火は850℃、ガスコンロの炎の温度は1700℃、太陽の表面温度は6000℃です。
Q.16)型をとるものはとけないのですか?
・・・金型や木型の形を砂型に写し取り、その砂型に溶けた鉄を注ぎます。(砂型の砂は、粘土の粉や特殊な樹脂で固めています)1500℃程度の熱で砂は溶けることはありませんが、砂粒は熱のため割れてしまいます。
Q.17)この仕事をするために必要な免許は何ですか?
・・・鋳物を作ることそのものには免許はいりませんが、工場の中で物を運ぶ機械(フォークリフトやクレーン)を使うには免許が必要です。また、「鋳造技能士」といって厚生労働省が鋳物の技術を持っている人を実技試験で認定する制度があって、愛媛県ではクリタが試験会場になっています。受験する人もほとんどクリタの社員です。
Q.18)働いている人は何人ですか?
・・・45人です。
Q.19)働く時間はどうなっているのですか?
・・・全員集合して働くのは朝8時から夕方4時45分までです。受け持ちによっては、朝早くから来て仕事をしている人、夜遅くまで残って仕事をしている人もいます。
Q.20)休み時間はどれくらいありますか?
・・・昼休みは45分です。あと10時と3時に10分ずつ休憩します。みなさんどう思いますか?(皆「えぇ~っ、短い!」と思ったようなリアクションでした。)
Q.21)製作機械の種類と数は?(値段もよかったら教えて下さい。)
・・主なものだけで、砂型を作る機械、砂型で使う砂を練る機械、鉄を溶かす機械、溶かした鉄を暖めておく機械、溶けた鉄を運ぶ機械、鉄を流し込んだ砂型を冷やす機械、冷えた鋳物の表面の砂を落とす機械、鋳物の表面をきれいに削る機械、工場の中の煙やホコリを吸い取る機械、工場の中で使う圧縮空気を作る機械、作った鋳物を検査する機械、などがあります。台数は100台以上あります。クリタにある機械全部を今新品で買ったとしたら、10億円以上します。だからというわけではないのですが、大事に使っています。古い機械は30年以上使っています。
Q.22)機械が故障することはあるのですか?その時はどうするのですか?
・・・その通りです。故障します。ほっぽらかしにしていても故障しない機械はありません。で、故障したら、何が何でも修理します。自分たちでできることは会社の人たちでやります。大がかりな修理では、専門の人が東京や大阪からやってきます。直すための部品も、日本全国から、ものによってはヨーロッパから送ってもらいます。なぜ直すかというと、工場の全部の機械が順調に動かないと良い鋳物を作ることができないからです。故障したままでいい、いらない機械なんてないからです。
それから、機械は突然壊れることはあまりありません。壊れるときは、たいてい前ぶれがあります。機械を使う人が、「いつもより動く音が大きいかな?」「いつもより震えが大きいかな?」「機械についているメーターの数字がいつもと違ってきたかな?」といった前ぶれに気づくことができれば、そしてその原因がわかれば、早めに修理することができます。早めに修理すれば、手間も費用も少なくてすみます。
Q.23)ISOとは何ですか?
・・・クリタは「ISO9001」という資格を持っています。「ISO9001」という資格を持っているということは、「株式会社クリタという会社が、お客さんが欲しいと思っているできばえの品物を作るため、会社の人それぞれが役割を持ち、お互い助け合うようなしくみになっている」と認められている会社である、ということです。日本の鋳物工場の中では、クリタはかなり早くにこの資格を取りました。
Q.24)株式会社とは何ですか?
・・・会社をはじめようとしたら、土地や建物や機械や道具をたくさん買わなければならないので、お金がたくさん必要です。一人の人だけではそんなにたくさんのお金はありませんが、多くの人がお金を出し合ったら、会社をはじめるためのお金が集まります。そういうふうに始まった会社を株式会社といいます。
Q.25)工場を経営していくために大事なことは何ですか?
・・・今がんばって、将来はこういう会社にしたい!と決めたら、くじけないこと、やめないことです。自分だけでなく、まわりの人とも励まし励まされあって、仕事をやり続けることです。
仕事をしていたら、面倒なこと、イヤなこと、やめたくなること、つらいこと、苦しいこと、しんどいこと、がたくさんあります。(皆さんが将来つく、どの仕事でも、たぶんそうだろうと思います。)でも、その仕事をやめてしまったら、その仕事をすることで得ていた収入は得られません。その仕事を通じて実現しようと思っていた目標は実現しません。その仕事を通じて築いてきた人間関係も、ほとんどなくなってしまいます。それまでその仕事を続けてくるうちに見つけてきたやりがい、喜び、満足、といったものも、それっきりになります。また新しい仕事につき、新しい目標を見つけるのは、なかなか大変です。
目標にむけて頑張りつづけるつもりがあるなら、工場を経営していくための専門知識でも、経験でも、技能でも、いくらでもいつからでも身につけることができます。「今日も明日も前向きに進んでいく明るい気持ち」が何より大事だと思います。